ウール

ウール (WOOL)

ウール (WOOL)
ウール (WOOL)
ウール (WOOL)

① ウール毛布とは

ウール毛布とは、羊毛をはじめ動物から採取した毛を使って織られた毛布をいいます。 ウール毛布に使われる原料はオーストラリアやニュージーランドから輸入される羊毛が一番一般的ですが、中国やモンゴル人民共和国などで採れるカシミヤ、中国で主として採れるキャメル (ラクダ)、南米のアンデス山脈の高地に棲むアルパカ、同じくアンデス山脈の4000米級の高地に棲み、地上最高級の繊維と云われているビキューナー等があります。又、最近では絹 (シルク)を原料とした毛布も作られています。

これらの羊以外の動物は偶蹄目に属し、カシミヤはウシ科ヤギ属に属し、キャメル、アルパカ、ビキューナーはラクダ科に属します。

ウール毛布は、通常は織機によつて織られます。アクリル毛布が通常編機によつて編まれるのと生産方法が根本的に違います。

② ウール毛布の出来るまで

ウールの織毛布は経糸をドラム(ビーム)に巻き織機に仕掛け、経糸の間を緯糸が通って一枚の布として織られます。 

経糸には、通常綿糸、エステル糸、ウール梳毛糸、カシミヤ糸等を使用し、 緯糸には、羊毛、カシミヤ糸、キャメル糸、アルパカ糸等を使用いたします。

織毛布では、通常品質表示は緯糸及び経糸の素材を分離表示いたします。 又、緯糸・経糸共に羊毛を使った毛布をピュアウール毛布、緯糸・経糸共にカシミヤを使った毛布をピュアカシミヤ毛布、緯糸・経糸共にキャメルを使った毛布をピュアキャメル毛布、緯糸・経糸共にアルパカを使えばピュアアルパカ毛布と称されます。

ウール毛布は泉大津市を中心とした泉州地区で約30万枚生産され、ウール毛布の国内生産量の殆んどを当地で生産しています。

その生産形態は各々の生産工程を小規模の企業が分担する、完全な分業体制をとっているのが特徴です。それは、毛布が季節的に需要が集中するため、各々の企業のリスクを分散させるのが目的です。

従って、弊社は一般に機屋と呼ばれ、得意先より注文をうけた商品に対して、紡績より原料(原糸)を購入し、それで毛布生地を織り、織り上がった生地を 加工工場にだし、縫製工場を経て仕上がって弊社に納品された製品を検品し、得意先に出荷する作業をしています。

③ 製造工程

緯糸
輸入された原料を紡績で緯糸にする。
一部は染色工場へ出す。
コーンに巻く。
経糸
輸入された原料を紡績で経糸にする
経糸用としてドラム(ビーム)に巻く。
ビームに巻いた糸を経糸として織機にかける。
緯糸、経糸が整った段階で製織(自社)にかかる。
織り上がった生地を整理工場へ出荷し反染や洗絨して起毛(外注)する。
縫製工場でヘム加工(外注)、ネーム等を縫いつける。
仕上がった毛布を検針、検品(自社)する。
袋入れ、化粧函入れ(自社)等をして出荷

④ ジャガードによる柄の出し方

毛布は通常二重織りです。そして織機に取り付けられているジャガードという機械によって柄をだします。 

ジャガードには紋紙を使います。この紋紙には柄がでるように小さな穴が空けられており、ジャガードの機械に接する部分にもジャガードの穴があり、紋紙の穴が空いたところにジャガードの針が入り、ジャガードから吊り下げられたその針から出ている通じ糸が経糸を上下に持ち上げ(開口運動)、その空間を織機の一番重要な役割を果たす矢羽根(レピア)が緯糸を運ぶことによって柄がうまれます。

ジャガードから吊り下げられた通じ糸のつり方によって絵羽柄(左右対象の柄)になり、流れ柄(繰り返し柄)にもなります。

紋紙は製品の長さ、目付け、糸の番手(太さ)加工方法等によって必要な枚数がきまります。又、一枚の毛布で通常6~8色使うことが出来ます。

⑤ ウール毛布の今後

化学繊維と比べ、環境に優しく健康にも優れているウール毛布は急激に伸びる商品ではないが、その価値が見直されてくる日も近いとおもいます。

弊社取り扱い羊毛製品

(1) 防縮加工ウール(ウオッシャブルウール)

羊毛は現在世界各地に広く分布して、それぞれの地域でその環境、風土にマッチした飼育がされてきましたが、世界で最も優れた品質の羊種のメリノ種はその品質に改良に改良を重ねて、羊毛の代表的存在であります。

世界一の羊毛産出国であるオーストラリアでは、産出される羊毛の約70%がメリノ種であります。メリノ種の羊毛の繊度は16~26μと幅が広く、繊維長も平均75mmで1頭あたり約4,5kgの毛を採取出来ます。

そのメリノ種の羊毛に防縮加工を施して、品表の指示に従ってお取り扱いいただければご家庭でのお洗濯も可能です。

(2) ビクトリアスーパーラムウール

生後6ケ月までの授乳中の子羊の羊毛をラムウールと言います。子羊なので毛足は短いが繊度は細くて非常に滑らかでソフトです。生後一度も毛刈をしていないウブ毛なので、毛先が細く羽毛のような柔らかさをもち、若い毛なので生気に富み、毛の表面を覆うキューティクル(鱗皮)が薄いので、独特の滑らかさとヌメリ感をもっています。

ビクトリアスーパーラムは、オーストラリアの中でも最高級の細番手ウールの産地として有名な、南オーストラリアのビクトリア州で採取された最高級ラムウールです。高級カシミヤに匹敵する繊度16.5μのピュアラムを100%使用しており、スーパーラムと呼ぶに相応しいものです。 

(3) ウルグァイスーパーファインメリノ

南米ウルグァイでは年間降雨量が1200~1400mmと温暖な気候で、1年中牧草も茂って以前から羊毛生産が盛んに行われていました。

ただ以前は繊度20~23μの一般的なメリノ種を生産していましたが、品質改善をして収益を向上させる為、2000年頃からCENTEX(ウルグァイの羊毛生産者団体)が中心となり、スーパーファインメリノ生産に向けた細ミクロン化の実践に取り組みました。その細番手化プログラムは

  1. 品質管理の行き届いた農場を選別。
  2. 屋外で自然の草を食べて飼育されている。
  3. 参加する農家から集荷された100%ウルグァイ羊毛である。
  4. 羊のミュールジングをしていない。(羊の寄生虫被害を防ぐため、子羊の臀部の皮膚と肉を切り取ること。オーストラリでは広く行われているが、動物愛護の面から批判がある。)

ウルグァイ・スーパーファインメリノは2012~2013年には最高繊度13.8μ~17.5μを約70トンを生産しています。

(4) 英国羊毛(シェットランドウール)

英国には非常に沢山の品種の羊が飼育されており、その品種は40~50種類になります。大別すると4つのグループに分類されます。①短毛―ダウン種、②長毛―光沢種、③山岳―丘陵種、そして天然色種です。

イギリスはカムチャッカ半島と同じような緯度ですが、メキシコ暖流に囲まれているので比較的温暖とはいえ、「1日の中に四季がある」と言われているように、時には北極圏と同じくらいの気温に下がることもあります。そのような厳しい自然環境で飼育された英国羊毛は、世界で生産される他の羊毛と比べ比較的クリンプ(繊維表面の鱗状)が多く、繊度が太く、嵩高で保温力に優れております。

シェットランドウールはスコットランドよりさらに北のシェットランド諸島で飼育された羊毛、英国羊毛の中では一番繊度が細く柔らかです。又天然色種でホワイト、ベージュ、ブラウン、グレイ等化学染料を使用することなく、天然の色をそのまま生かしております。